育児休業給付金とは、育児休業を取得した場合に一定の要件を満たすと支給される制度です。
雇用保険の加入やその他条件があり、育児休業開始から180日目までは休業開始前の賃金の67%が支給され、181日目からは休業開始前の賃金の50%が支給されます。
育児休業給付金の支給条件
育児休業給付金をもらうためには、雇用保険に加入していることが条件になります。給付金が雇用保険から支給されるためで、日雇い労働者や会社に雇われていない自営業者など雇用保険に加入していない場合は受給対象外となります。
また育児休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算して12ヵ月以上あれば、育児休業給付金の受給対象になります。
育児休業給付金の支給期間
育児休業給付金の対象期間は、基本的に育休の取得中になります。
子供が1歳になる日の前日まで支給されますが、民法第143条の規定では、満年齢に達するのは誕生日の前日とされています。そのため、実際の支給期間は、1歳の誕生日の前々日までとなっています。
なお、育児休業給付金の支給は育休の取得日数を対象としているため、自己都合で育休の期間を短縮すると、育休手当の支給期間も同じように短縮されます。
職場に復帰するため、保育所に入所を希望し申込みをしているが、入所できない等の一定の要件を満たした場合には、最長1歳6か月の誕生日の前々日までを限度として支給対象期間を延長することができます。(厚生労働省)
育児休業給付金の支給日
育児休業給付金は、基本的に2カ月分まとめて支給されます。
母親の場合、育休は産休期間の8週間が明けてから開始するため、初回給付金の入金は、出産日からおよそ4~5カ月後が目安になります。
なお育休手当給付金の申請期限は、育休開始日から4カ月経過後の月末までです。その期限を過ぎると交付が認められないため注意しましょう。
転職直後でも育児休業給付金はもらえる
転職直後の育児休業であっても、前述した条件を全て満たしていれば育児休業給付金をもらえます。
同一の就業先でなくとも転職前後で雇用保険に加入していれば、加入期間を合算して受給対象者としてもらうことが可能です。前職の離職票と現職の算定用書類(雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書)を併せれば、受給額も正確に計算されるので安心してよいでしょう。
育児休業給付金の対象とならないケース
- 育児休業が始まる時点で退職する予定がある
育児休業給付金は、育児休業終了後に職場へ復帰することを条件とした給付金です。育児休業が始まる時点で退職の予定がある場合は支給対象となりません。 - 育休中でも給与が8割以上支給されている
育児休業給付金の1支給単位期間に「休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上」の賃金が会社から支払われている場合、支給額は0円となります。
育児休業給付金の申請方法
育児休業給付金の申請は、原則として勤務先を通して行います。勤務先に必要な書類を提出し、その事業所を管轄するハローワークで審査が行われて本人に支給される流れとなります。
育児休業給付金の申請に必要な書類
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
- 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿またはタイムカードなど
- 母子手帳などの育児を行っている事実を確認できる書類
- 振込先口座の通帳の写し(支給申請書に金融機関の確認印を受けた場合は不要)
このうち自身で用意するのは母子手帳と振込先口座の通帳の写しで、必要事項の記入が必要な支給申請書は会社から渡されます。そのほか賃金台帳なども会社が用意し、作成した申請書類とあわせ、ほとんどの場合で事業主からハローワークに提出されます。
また、育休手当は1回目の申請だけで支給が続くわけではありません。1回目では育休開始から2カ月分の休業状況を対象にハローワークが審査を行い、振込が行われます。
自身でハローワークへ提出した場合は、2回目以降についても、2カ月単位でハローワークへ申請が必要になり、休業状況の審査が行われた後に支給額の振込が行われます。
育児休業給付金の支給金額
育児休業開始から180日目までは休業開始前の賃金の67%が支給され、181日目からは休業開始前の賃金の50%が支給されます。
育児休業給付金の支給金額
- 育休開始から180日以内
休業開始時の賃金日額×支給日数×67% - 育休開始から181日以降
休業開始時の賃金日額×支給日数×50%
育休手当給付金の支給限度額
育休手当給付金には支給額と、その計算のもとになる賃金の額に限度があります。
2024年7月31日までの休業開始時賃金日額の上限額は1万5,430円、下限額は2,746円です。支給日数が30日の場合の支給上限額と支給下限額の例は以下のとおりです。
支給率67% | 支給率50% | |
---|---|---|
支給上限額 | 310,143円 | 231,450円 |
支給下限額 | 55,194円 | 41,190円 |